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『三田文学』編集長交代の経緯について
三田文学会理事長 吉増剛造
2017年4月29日 三田文学会総会にて
この度の異例のことでしょう『三田文学』編集長交代の経緯につきましてご説明申し上げます。わたくしは福田拓也氏に編集長ご就任を懇請いたしました責任がございますので、一年間四号の『三田文学』の編集に命がけで火のようになって当たられました、そのお心を多として、そのお心にも沿うようなご報告となることをお許しください。
昨年来三田文学会では『三田文学』前編集長の社会通念を逸脱した激しい言動により、困惑が広がっておりました。特に11月に前編集長がある企画を巡って三田文学会関係者に恫喝的言辞を弄するに及んで、事態は深刻な段階になってまいりました。この間の報告にわたくしも驚きかつ心を痛めておりましたが、三田文学会理事を中心にした会員有志連名による前編集長問題に関する臨時理事会開催の要請書が提出され、これはわたくしの責任において12月に臨時理事会を開催するしかないと決断を致しました。臨時理事会では慎重な話し合いが行われ、前編集長の言動に厳しい批判が集中して前編集長の責任は重大であるとの見解が大勢をしめました。そして具体的には、当時編集作業中でした『三田文学』春号(129号)の編集終了をもって辞任を求め、来春(2017年春)以降は新編集長体制で運営することといたしまして、新編集長には『三田文学』百年にあたり坂上弘氏とともに画期的なお仕事をされた関根謙前文学部長を推挙いたしました。そして新たに4名からなる編集委員会を組織し、編集部の質的強化を図ることにいたしました。また今回の経緯は個人のプライバシーを充分配慮し、一切部外秘として粛々と編集長交代の手順を踏んでいくことにいたしました。わたくしはこの決定に基づき、ただちに前編集長に内容を伝達いたしました。前編集長からは春号の編集完成時ではなく、12月末日をもって即刻辞任したいとの意向が表され、わたくし宛に辞表が提出されました。この福田氏のご退任に際しまして、わたくしの判断でしたが、この一年の『三田文学』に新しい文学の光をもたらして下さったこと、その全力傾注への感謝も申し添えましたことをご報告申し上げます。こうした経緯を経まして、福田氏の辞表を受理し、内定しておりました関根謙新編集長に年明け1月1日付就任の要請をいたしました。
新編集長は『三田文学』春号編集途中からのご就任となり、非常に困難な局面に立たざるを得なくなりましたが、幸いにも、編集委員会と編集部の一致協力のもと、会員の皆様のご支援を得て無事に春号刊行の日を迎えられ、わたくしも責任者として心より安堵している次第でございます。今年2月からは新編集委員会も始動して様々な企画が一気に開花しようとしており、三田文学会にとって画期的に強固な編集体制が確立できたと信じております。
ここに申し上げました編集長交代の経緯は、臨時理事会の決定にもあるように、わたくしといたしましては部外秘としておきたかったのですが、三田文学会と新編集体制に対して前編集長がツイッターなどを通して非難の記事を拡散しており、三田文学会理事長として責任ある態度を表明しなければならないと考えるに至りましたものでございます。
『三田文学』編集長交代の経緯は以上申し述べました通りです。本日、三田文学会総会の場を借りまして、以上のように正式にご報告する次第です。諸先輩そしてご心配下さいました皆様方におかれましては、どうぞ『三田文学』に今後一層強いご支援を賜りますようお願いを申し上げます。以上ご報告申し上げましたこの難局を奇貨として、さらに大きな夢の文学雑誌への道を歩んでまいりたいと祈念いたしております。
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